研究概要 |
個人の健康を示す指標を得るために体力測定が広く利用されている.この体力測定においては,筋力や筋持久力を計測し健康の度合いを定量的に評価している.これら筋力や筋持久力の測定においては,従来からバネを利用した計測器が広く用いられてきた.たとえば,握力計や,背筋力計が挙げられる.これらの測定器は基本的にはバネばかりと同じ構造になっており,バネを引っ張ったときの最大変位からバネ定数に応じて筋力を同定している.ところが,このような装置を高齢者の体力測定に適用しようとすると,機器の構造上最大発揮力を発揮しようとすればするほど,極度の筋緊張が必要になる.このため,血圧上昇などの悪影響が生じやすいことが研究代表者らの調査から明らかになっている.そこで本研究においては,発電機構を利用した新しい筋力計測手法を提案し,その手法によって比較的軽い身体的負担で筋力が計測できることを示した.さらには,このような発電機構を用いることで従来のばね構造を利用した筋力測定器機ではできなかったような回生抵抗によるトレーニング機能を付与できることを明らかにした.最終年度のH23年度においては, ・発電機に電圧を付与しモータとして筋力を鍛錬するリハビリ手法の検討 ・様々な筋パワー計測器としての可能性の検証 ・娯楽性の付与とリハビリテーション機器としての可能性の検討 を行った.具体的には,高齢被験者に1ヶ月から2ヶ月程度の筋力トレーニングプログラムを作成し,その効果を病院等と連携しながら実施した.その結果,提案した機器によって身体的な負担なく筋力計測ができるだけでなく,コンパクトなリハビリテーション機器が実現できることが示された.
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