研究概要 |
高齢化社会において麻痺した人の手首や腕のリハビリ作業をサポートするために,理学療法士の補助として機械やロボット等による多自由度の運動動作を支援するリハビリ遠隔支援システムの開発を行う.本研究では,パラレルマニピュレータを用いることにより,コンパクトな機構で,高速,高精度な6自由度運動が可能な卓上型のリハビリ機器を目指している. 本年度はリハビリ遠隔支援システムに関して,各構成要素技術の研究開発を行った.卓上型リハビリ装置における多自由度機構の動力学解析を行い,位置と力感覚提示のシミュレーションを行った.また,3D-CAD (SolidWorks)による機構設計と3D組立による機構部の検討を行い、動作範囲,剛性等を考慮した最適な設計パラメータを決定し,装置の試作を行った.リハビリ装置の駆動には安全性を考えて空気圧式を用い,DSPとPICによるPWM制御を行い,力・位置制御を実現した.三方電磁弁を2個用いてアクチュエータのpush-pull制御を実現し、実験による試作機の評価を行ない,剛性,発生力,作業範囲等の面においてリハビリ装置としての性能を評価した.さらに,試作機のポテンショメータの信号をPCにとりこみ,3次元VR空間上における移動物体の動作として表示した.リハビリ装置との動作と同期して高速に描画できるようにするため,高速リアルタイム表示が可能な3次元グラフィックライブラリであるOpen GLを用いた.以上により,リハビリ遠隔支援システムの基礎を確立し,完成の見通しを得た.また,各要素の基礎技術は個々に,様々な分野において応用展開が可能であり,その効果は期待できる.
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