非喫煙で定期的な運動習慣のない若年女性24名(体脂肪率、21、9~33.8% ; BMI、18.1~23.7kg/m2)を対象として、寒冷および運動(静的掌握運動)ストレスに対する循環応答、および動脈硬化度の指標であるCardio-Ankle Vascular Index(CAVI値)を調査した。ストレス負荷検査およびCAVI値の測定は月経開始後3~7日に行った。検査当日には女性ホルモン濃度を測定した。寒冷負荷検査では、利き手を氷水(2~3℃)に2分間浸水した。運動負荷検査では、あらかじめ測定しておいた最大随意握力の30%の力を非利き手で2分間発揮した。検査時には血圧および心拍数を連続的に測定した。CAVI値は、血圧脈波検査装置(フクダ電子社、VS-1500)を用いて測定した。また、内臓脂肪レベルの指標として、腹囲/腰囲比、腹囲/大腿囲比、および腹囲/身長比を求めた。腹部皮下脂肪厚も測定した。その結果、寒冷負荷検査における血圧上昇(昇圧)の大きさは、BMIが約20.5kg/m2で最も小さくなり、それよりも低くても高くても大きくなる傾向が認められた(p<0.02)。体脂肪率との関係では、約27%で昇圧が最も小さくなる関係が認められた(p<0.02)。また、その昇圧応答は腹囲/大腿囲比に依存して増大する傾向が認められた(p<0.05)。運動負荷検査における循環応答およびCAVI値には、体脂肪率、BMI、および体脂肪分布指標との間に明らかな関係は認められなかった。以上のことから、一般若年女性において、寒冷ストレスに対する昇圧応答の大きさは、BMIと体脂肪率のいずれにも依存して変化することが明らかになった。また、体脂肪分布(内臓脂肪レベル)の影響を受けることが示唆された。
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