研究課題
今年度は、本研究の最終研究年度であったことから、これまでの研究のまとめと成果の報告に重点を置いた。本研究のテーマである動きのコツと能動的運動感覚の形成に関するこれまでの考察から、さまざまなスポーツにおいて無意識的(受動的)に働いているコツ機能を意識のレベルに上げていくことの重要性とその方法論について事例的に検証することができた。スポーツ運動が熟練レベルにまで習熟が進むと、動きの内容に注意を向ける必要がなくなるため、コツ意識を尋ねても無意識次元で行われている運動のコツを言表できないことが少なくない。したがって、そのような自動化レベルの選手から、他者の指導に必要な動きのコツ感覚情報を得るためには特殊な方法を取り入れる必要性がある。それがフッサールの発生論的現象学における「脱構築」である。本研究においては、これを動感分析に適用して「キネステーゼ解体」としていくつかの運動に関して例証的分析を行った。具体的には、スポーツにおいてすでにできあがった(熟練した)運動を構成しているキネステーゼのうちのどれかを取り外してみて全体経過の変容を確認することによって、本質的なコツの存在を確認しようとするものである。この方法を通して、一般的には運動の熟練者である指導者が、普段自らが気づいていないコツを能動的意識に上らせることが可能となり、初心者等の運動感覚を深層レベルで理解することができ、効果的な運動指導を展開することができるようになる。その今年度の成果の公開として、4件の学会(口頭)発表と3件の論文発表を行った。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)
北海道教育大学紀要
巻: 第62巻第2号 ページ: 1-12
Sport und Wissenschaft (Beiheft zu den Leipziger Sportwissenschaftlichen Beitragen 2011, ; "Bewegung der Form-Prozesse der Ordnungs-bildung und ihre wirklichkeitskonstituierende Bedeutung-", M.Roscher (Hrsg.)
巻: Band 12 ページ: 136-144
Schriften der Deutschen Vereinigung fur Sportwissenschaft, "Aktuelle Themen der Turnentwicklung", A.Menze-Sonneck & T.Heinen (Hrsg.), Czwalina : Hamburg
巻: Band 216 ページ: 11-18