本研究の目的は、大学における地域貢献を活用した野外教育指導者養成カリキュラムのモデルを作成することである。そのために、課題1として、大学において専門的に野外教育を学ぶ大学生、大学院生が、民間団体のプログラム開発、運営、指導、評価を行うことで、参加青少年に対する野外教育プログラムの教育効果を検証した。課題2として、指導に参加した大学生が、これらの指導実践と大学カリキュラムの関連性と効果を評価することであった。本年度は、課題1について、春に1コースを開催し、28名のキャンパー、及び8名の大学生スタッフが参加し、平成20年度にMeans-End Analysisを応用したキャンプ評価シートを用いて、キャンプ体験と教育の関連を明らかにした。その結果、「自然や環境への興味」に最も高い成果が得られ、その要因として、瀬等の危険箇所の通過を含むカヌーによる川下り1日目の体験が要因となった。この結果は、21年度とも類似した結果が得られ、大学専門機関が参画することにより可能となった大自然の中での冒険活動が参加者の自然認識に効果を及ぼすことが明らかとなった。課題2に対して参加学生に面接調査を行ったところ、次の点が効果として挙げられた。1)実践経験の獲得、2)指導者意識の向上、3)大学カリキュラムにおける学習の動機付け、4)大学カリキュラムにおける学習の深化、5)研究テーマの発見、6)研究データの収集。本研究では、以上のデータに基づき、大学教育・指導実践・研究活動の連携による野外教育指導者養成モデルを開発した。また、民間団体を活用することにより、大学の新しい社会貢献の在り方、大学カリキュラムの充実について示唆を得た。
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