本年度(H.21)は最終年にあたる。運動実践における思考の独自性を明示するため、文献研究の検討を引き続き行い、前年度までの成果を受けて、運動習得における身体的思考の論理を明確にした。8月末には体育・スポーツ哲学会(新潟)に参加し、意見交換を行った。9月には、これまで行ってきた2年半の研究成果を踏まえ、平成22年9月15~19日開催の第38回国際スポーツ哲学会(ローマ:イタリア)において、"Logic of thinking in human movement practice-Phenomenological consideration of human bodily thinking-"(運動実践における思考の論理-身体的思考の現象学的考察-:単独)というテーマで発表し討議を行った。その際、テーマに関連する情報および資料収集を行い、領域を超えた研究者との意見交換も行った。 学会後は、本研究のまとめを行うとともに、平成21年度研究テーマであった「下位〔動作〕」について「身体的思考における下位〔動作〕の役割」というテーマで体育学研究に投稿した。論文にすることが当初の予定からだいぶ遅れてしまい、目下審査中である。年度末には、2年目にドイツケルンスポーツ大学図書館において収集した資料を再検討し、国際スポーツ哲学会で発表した内容に検討を加え、3ヶ年の研究成果として「運動実践に不可欠な身体的思考の論理(仮題)」という表題で、体育・スポーツ哲学研究に投稿を予定している。また、本研究の成果を活かした運動指導論が新たに必要であり、それを探らねばならないという課題が生じている。
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