本研究の目的は、保育者養成校におけるカリキュラムの課題を明確にし、十分な専門性を持った教師によって幼児期の運動に関する教育がなされているのかという保育界の問題を検討するとともに、専門的知識を有する保育者のあり方を提言していくことであった。 そこで今年度は、1.保育者養成校における領域「健康」、幼児の体育、運動指導、運動発達などに関連する科目についてシラバスを収集し、養成課程での指導内容の概略をつかむこと、2.保育者が養成段階で学んだ内容に関し実際の現場でどのように生かされているか等を明らかにする質問紙を作成することを目的とした。シラバスは、幼稚園教員免許状の認定課程を有する大学および短期大学計313校(平成14年度現在)を対象とし、領域「健康」、幼児体育等に関連する実技および講義科目の内容を大学HPまたは郵送により依頼した。その結果、計257校延べ980科目のシラバスを収集した。養成校中82%の収集率であったが、平均すると1校あたり該当科目は3.6科目開設されていた。これらはテキスト分析ソフトを用いて分析するため、入力作業を継続実行中である。一方、シラバス収集時に複数名の科目担当者に対し、授業内容の把握と各地域における保育現場での運動指導の実態把握のためインタビューを行った。これらから得られた知見も含め21年度実施予定の幼稚園教諭を対象とする質問紙を作成した。具体的には、所有免許状、所属園の特徴、養成校での学習内容、現場において現在必要性を感じる事項等をたずねる内容で構成されている。
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