本研究は平成17年度に採択された文部科学省現代GP「バリアフリーによる双方向スポーツ教育活動」におけるスポーツ指導活動がコミュニケーション能力等を高めるか検討するものである。平成20年度は岡山大学の双方向スポーツ活動に参加した学生、学生への指導・管理者、および学生の指導を受けた者を対象にアンケート調査等を行った。コミュケーション能力は、藤本ら(2007)のENDCOREモデルを用いて、中高校部活動指導学生:21名、地域スポーツ教室指導学生54名、スポーツ教室開催学生42名の計117名を調査した。その結果、参加学生全体としては指導期間前後におけるコミュニケーション能力はわずかではあるが統計的な増加を示した。また、地域スポーツ教室指導学生のコミュニケーション能力のうち、特に読解力、他者受容、関係調整の能力が向上した。スポーツ教室開催学生では他者受容能力の向上が認められた。しかしながら、中高校部活指導学生には統計的に向上した項目は見られなかった。したがって、これら3種類のスポーツ指導別カリキュラムの点検と改訂を行い、新たな教材づくりに着手している。また、当センター評価委員会では学生代表の評価委員より、このすばらしい企画をもっと学生にアナウンスし、認知度を高める必要があると高い評価と要望をもらった。地域スポーツ指導者からは劇的なコミュニケーション能力の向上が感じられるとの感想をいただいた。学生自身のその能力の変化がそれほど大きくはないことから、今後も自己評価と他者評価の両者の検討が必要であると思われた。また、地域スポーツ指導者、管理者等の調査をまとめると、学生の指導目的や指導方針の理解、スポーツマネージメントなどについて学習の機会を持たせることとともに、指導現場での事前打ち合わせの重要性があげられ、これらを徹底することがスムーズな指導とコミュニケーション能力の向上につながるものと考えられた。
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