平成21年度の調査研究の評価は以下の通りである。 典型的事例の「千歳市泉郷獅子舞」の現地調査、文献の収集についてはほぼ終了したが、映像資料の撮影については、舞踊譜記述の方法論との関係から再度実施し、2方向からの撮影を行った。同時に、当該研究のテーマである「舞踊譜」による記述保存については、世界的にも高い評価を得ている舞踊譜「ラバノーテーション」の表記方法では対応できない問題、特に踊り手の上半身が胴幕によって隠れてしまう点をどう舞踊譜に記述するかという問題の解決のために獅子の胴幕を外し、舞手の手の動き、上半身の動きを捉える試みも実施した。 当該研究の基礎と位置づけるこの「千歳市泉郷獅子舞」に加えて道央、道東の無形文化財指定獅子舞について現地調査を実施。映像資料、及び文献資料の収集を行った。並行して舞踊譜作成の方法として詳細な身体の動きをイラスト化することを検討、イラスト図版作成の専門家との検討作業を開始、当該研究者によるオリジナルな舞踊譜記述法の方法論を模索している。一方、平成21年度当初、調査対象としてあげた30余の無形文化財の獅子舞への現地調査が不完全のまま年度が終了、北海道内獅子舞の被伝承地である富山県への訪問調査も未実施に終わっている。 本年度は、当該研究の最終年度であることから、積み残した調査対象へのアプローチを積極的に行い、可能な限り、映像資料、文献資料の収集、整理を試み、舞踊譜記述による無形民俗文化財の保存に貢献して行きたい。
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