研究課題/領域番号 |
20500527
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研究機関 | 国際武道大学 |
研究代表者 |
魚住 孝至 国際武道大学, 体育学部, 教授 (70203495)
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研究分担者 |
大保木 輝雄 埼玉大学, 教育学部, 教授 (80110120)
立木 幸敏 国際武道大学, 体育学部, 准教授 (20255178)
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キーワード | 武道 / 剣術 / 流派 / 新陰流 / 一刀流 / 撃剣 |
研究概要 |
本研究の目的は、江戸時代の武道文化の形成で主導的な役割を果たした新陰流と一刀流剣術を中心に、流派剣術の技法を踏まえて修練法とその思想を明らかにすることを通して、日本の武道文化の成立基盤を解明することである 今年度実施した研究およびその成果は、以下の通りである。 1.新陰流関係および一刀流関係の資料収集 新陰流の成立の基になった陰流の愛洲移香斎について、昨年度に続き追加調査した。愛洲氏の出身地の愛洲の館の資料を調べるとともに、中世古祥道氏に会い、移香斎と新陰流の関係について聞いた。また尾張徳川家の蓬左文庫を調査し、新陰流の江戸後期の伝書4点の複写を入手した。 一刀流関係で江戸期の小野家伝書(春風館文庫蔵)の影印本8冊を吉田鞆男氏から提供を受けた。 2.一刀流の元来の術枝の研究 一刀流の組太刀について、1700年前後の遣い方を、小野家伝書とその弟子であった津軽家伝書における記述を踏まえて、推定・復元を試みている。「セイガン」の構えも「切落」の刀法も現在伝承のものとは異なるごとを明らかにした(論文「小野家伝書から見る一刀流剣術」)。 3.18世紀後期からの撃剣の受容による刀法の変容の研究 18世紀後期に一刀流中西派が一刀流の組太刀とともに、防具を着け竹刀で打ち合う撃剣を受容して以降、一刀流の組太刀も大きく変容したことを『北辰一刀流組遣様口伝書』(19世紀中期)に基づき研究し、組太刀から撃剣を受容した際の刀法の変容・展開について、ほぼ見通しがついた。 4.18世紀後期からの剣術の変化の研究 18世紀後期から一刀流も含め剣術全体が大きく変容していった背景を、幕政改革・藩政改革で武芸が奨励される中、社会層が下級武士や郷士・豪農層などが撃剣を主とする剣術を推進・展開したこと、19世紀にかけ撃剣での他流試合が盛んになり、武者修行や江戸遊学などで流派間の交流と技術の同上が見られ、それが近代剣道に発展していったことを論じた(論文「十八世紀における武術文化の再編成」)。
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