研究概要 |
本研究の目的を明らかにするために本年度、以下の研究を行った。すなわち1)研究3(心理的メカニズムにおける比較研究)に位置づけられた研究として、「アダプテッド・スポーツ教育への関心」における体育専攻学生の特性を明らかにするために現職者との比較研究を行った(澤江・柄田,2010:日本発達心理学会第21回大会発表論文)。その結果、学生段階から実践的関心に移行するために、スポーツの多面性と他の発達領域との関連性についての知識の機能化が必要であることが示唆された。それを補足する研究として発達的に「気になる」子どもをもつ保護者の運動発達認識変化について研究を行った(澤江,2009:家庭教育研究所紀要)。また2)研究2(時系列的研究)の研究デザイン検討のために行った研究1(要因特定研究)に位置づけられている研究として、「アダプテッド・スポーツ教育への関心」に影響する要因を明らかにした(澤江・齊藤,2010:筑波大学体育科学系紀要、澤江,2009:日本体育学会第60回大会発表論文)。その結果、「アダプテッド・スポーツ教育への関心」に影響する要因には、「スポーツ全般に関する知識体系」のルートと「障害に関する知識体系」のルートがあることがわかった。3)その一方で、学年が上がるにつれ、関心の程度が下がる現象が複数の調査データで散見された(例、澤江・齊藤,筑波大学体育科学系紀要)。それは、興味本位的関心から主体的な選択的関心への質的変化の表れではないかと捉えることができた。今後、研究2に位置づけられる研究として時系列的変化を明らかにする際に、関心段階の質的変化を捉える指標についてさらなる検討が必要と考えられた。
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