研究概要 |
【目的】:本研究では、最初の1年間(H20年度)で「基礎研究:感情コントロールの脳内メカニズムの同定」を行い、また、2年目に「応用研究:PTSDセラピー技法を応用したアスリートのための感情コントロール技法の開発」を、さらに得られた知見をもとに「発展研究:新しい感情コントロール・トレーニング・プログラムの開発及びマルチモダリティ脳測定法を用いたトレーニング効果の確認」を3年目に行う計画になっている。 初年度の平成20年度は本研究では、テニスのサーブレシーブ場面を対象として、3次元のバーチャル空間を用いて覚醒水準(緊張レベル)を操作し、緊張レベルの高まったときの脳活動についてfMRI等を用いて測定することとした。 【方法・結果】 CGの作成:20年度ではまず、テニスのサーブレシーブ場面のCGを作成することが目的のひとつであった。CG作成には動作を高速度カメラで撮影し、モーションキャプチャシステムを利用して身体座標値を得た。さらに得られたデータを元に各動作の背景となる物理量(位置,速度,力,時間等)を算出し、スティック・モデルを完成させた。得られたCGモデルをより実際場面に近づけるために、スティック・モデルからシャドーモデル、スキニングモデルを作成し、背景などのCGと合わせてバーチャル空間を完成させた。 fMRIを用いた脳活動の測定では、スティック・モデル、シャドーモデル、スキニングモデルに有意な差は見られなかった。そのため、覚醒水準(緊張レベルの差)をより明確にするために、スティック・モデルを点光源モデルにし、シャドーモデルの代わりにスキニングモデルを、スキニングモデルの代わりにCGではなくVTRを呈示するように変更を加えた。さらに、fMRI装置との同期を取るために刺激装置にトリガーの入出力機能を加え、脳解析の時間分解能を向上させた。
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