研究概要 |
先進的な競泳のスタート・スキルを提案することを主目的とし、バックプレートの有無がスタート動作に及ぼす影響を検討した。セットポジションの膝関節角がバックプレートのある場合(84.3度)、無い場合(97.1度)に比べ有意に小さくなることが明らかとなった。大学生一流選手を対象とし、台上ではバックプレートの影響として、セットポジションで重心位置が高く前方へ移動し、後脚の膝関節の屈曲と足関節伸展傾向が見られた。加速局面では離台直前の加速方向がバックプレート無し条件より2度程度水平に近づき、水平加速度も大きかった。しかし、バックプレート付きスタート台に対応するスキルが身についていないため、離台時には有意な差がほぼ消滅した。重心位置がスタート台前縁より20cm後方にあることから、後方の膝関節を90-120度の範囲に伸ばし、身体の前傾をやや大きくすることが提案された。 さらに、スタート台上で,短い時間で大きな水平方向速度を得るための構えと動作を検討するために床反力を左右の足別々に検出する3軸小型フォースプレートを内蔵したバックプレート付きスタート台を開発した。表面は公認スタート台相当の加工を施し、使用感と安全性を考慮し極低頭ネジを使用して固定した。これらを基盤に固定し、既存のスタート台にクランプ固定した。その結果、良好に左右分離した3軸床反力を導出できるようになった。課題として、スタート台前縁を握りスタート台に加えられる上肢の力の分離が残された。 これに加えて、離台後の減速抑制のための姿勢を検討するために手先の着水から7mの動作をハイスピードカメラで撮影した。質的な分析の結果、入水時にできる気泡の中を進む選手と気泡の下を進む選手が観察された。
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