プロ野球のスタジアムの空間が、如何にして統制・管理されているのかを検討した。1980年代に一般化した集合的応援行動は、自発的結社である私設応援団が一般の観客を統制する形で行われ、一般客の逸脱行為を防ぐという側面があった。日本野球機構は警察庁と連携して、2003年に「プロ野球暴力団等排除対策協議会」を立ち上げ、2006年からは私設応援団を許可制とした。球団や球場が黙認していた私設応援団に対して日本野球機構が正式に市民権を与えたというこの一連の動きは、私設応援団が囲い込まれる過程として捉えることができる。2008年にある私設応援団が起こした訴訟「応援妨害予防等請求事件」は、スポーツの市場メカニズムへの抵抗が、スポーツ観戦に基づく人々のネットワークによって形成されたことを示している。
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