研究概要 |
本年度は,平成20~21年度に実施された研究課題A(マネジリアル・マーケティング研究)及び研究課題B(インタラクティブ・マーケティング研究)に基づいて,研究課題C(アフターマーケティング研究)に着手した。具体的には,民間スポーツ・フィットネスクラブ会員(クラブ会員)によって顕在化された「顧客苦情」がどのようなサービス・エンカウンターで発生し,そうした顧客苦情の内容をどのように分類すれば効果的なアフターマーケティング戦略を構築していけるのかといった,顧客苦情の定性的分析に焦点をあてて研究を進めた。 そのため,平成20~22年度までに実施したクラブ会員調査データ(配票総数931;有効回収標本数及び回収率871,93.6%)の中の不平・不満や苦情に対して定性的分析を実施した結果,以下のようなことが明確にされた: (1)過去1年間に何らかの不平・不満を感じたクラブ会員は全体の43.8%(379)であり,そのうちの59.9%は「スタジオ・ジム・プール」というサービス・エンカウンターにおいて何らかの不平・不満を感じていた。 (2)上記(1)のクラブ会員は「付属設備・備品等」(45.1%)や「コアプロダクト」(25.5%),「人材教育(ホスピタリティ教育)」(22.4%),「付帯施設」(22.7%),及び「顧客教育(会員教育)」(19.0%)といった5つの内容にかかわる不平・不満を強く感じており,中でも,全体で612の不平・不満内容のうち298(48.7%)が「顧客苦情」として顕在化されるとともに,そうした苦情内容も前述した5つの内容と軌を一にしていることが明確にされた。 以上のような結果から,(1)過剰混雑緩和のための「キャパシティ・マネジメント」の実施,(2)付属設備・備品及び付帯施設の維持管理といった「ファシリティ・マネジメント」の徹底,そして(3)従業員のための「ホスピタリティ教育」とクラブ会員のための「ルール・マナー教育」がアフターマーケティング戦略上の重要課題として示唆された
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