実験1では、左右差の要因を探る研究の一環として目標刺激(5mm/10mm)を左右半視野内にをランダム提示し、反応時間と正確性における左右差を検討した。実験参加者は学生7名(男子5名、女子2名)であった。反応時間については、目標提示視野(左/右)と反応腕(左/右)に有意な交互作用が得られた。この結果は刺激-反応の対応性を支持する結果であった。しかし、正確性については有意差が得られず、目標提示視野と反応腕との対応性は、反応時間と正確性で異なる結果となった。 実験2では目標提示箇所を半視野内全域ではなく、3箇所(上方・中間・下方)の左右対称位置(計6箇所)に限定し、標的に対する左/右腕による素早い到達運動の反応時間と正確性の左右差を再検討した。実験参加者は8名(男子6名、女子2名)であった。反応時間については、右半視野への目標提示においては右腕の反応時間が有意に短くなったが、左半視野への提示では左右腕の有意な差は得られなかった。しかし、左腕の反応時間は右に比べ左半視野提示において短い値を示し、右腕の反応時間は左に比べ右半視野提示において有意に短い値を示した。これは刺激-反応の対応性を完全には示していないが、傾向を示したと考えられる。正確性では、恒常誤差については左視野提示の場合は左右腕にかかわらず刺激提示位置より左方向にずれ、右視野提示の場合は中間位置においてプラス、すなわち刺激位置より右方向にずれる傾向を示した。これは、X軸方向の誤差が体の中心から外側方向にずれることを示している。これらの結果から、正確性については目標提示位置によって左右差の結果が異なることを示したと考えられる。本研究では、反応時間と正確性で左右差の現れ方が一貫しておらず、今後これらの原因について検討する必要がある。
|