研究概要 |
関節のストレッチはスポーツのパフォーマンス向上や,拘縮を防いでADLを向上させるリハビリテーションまで広く用いられている手技である.しかしながら術者による感覚に依存することが多く,定量的な評価が難しい分野でもある.本研究の目的は未固定凍結標本を使用してストレッチ想定運動をおこない,その際に生じる靱帯・関節包の伸びおよび関節軟骨等にかかる圧を計測し,最適なストレッチ方法を開発することである.また,上記の機器を使い,再現性のあるストレッチとその効果を定量的に評価するシステムを作り上げることである 平成22年度は未固定肩股関節標本を用いて,肩関節の拘縮・インピンジメントに対するストレッチング方法を明らかにした.3次元磁気計測装置と小型変位計測センサーを設置し,肩関節に様々なストレッチ想定運動を行った その結果,インピンジメントの原因となる後方関節包の拘縮には30°挙上で一番効果があること、外転・屈曲制限の問題となる腱板疎部および烏口上腕靱帯の拘縮には下垂位の最大外旋が効果的であることが明らかになった 肩関節は原因不明の痛みや拘縮が多い部分であり,可動域制限が出るとADLの低下に直結する.また手術後に拘縮を起こさないためにもストレッチングも盛んに行われている,本研究は肩関節における靱帯や関節包のストレッチングを行うに当たって重要な伸び率計測と肢位を客観的に示し,患者に苦痛が少なく,効果的な選択的ストレッチ方法を明らかにした
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