研究概要 |
未固定標本を使用し,関節靱帯の機能,関節包の構造を明らかにし,関節軟骨を保護する選択的ストレッチング肢位の開発を行うために以下の事柄を明らかにした. ・後方肩関節包の拘縮・インピンジメントに対するストレッチング方法. ・肩関節では最大外転位+外旋位において腕神経叢が最も圧迫を受けること. ・肘関節の外側上顆の接触圧が高まる肢位を測定し,肘が完全伸展,回内位,内反位で増大すること. ・近位橈尺関節の前内方モビライゼーションは肘屈曲60 度と90 度で行うと効果的である. ・腸骨大腿靱帯の上部線維と下部線維の選択的ストレッチング方法を開発した. ・遠位脛腓関節のモビライゼーションは背屈制限を起こした患者に有効であること. ・遠位脛腓靭帯の損傷は外旋位の不安定性だけではなく,内返し時の不安定性も招来する. ・距骨下の靱帯断裂による不安定性は装具によって内返しを制動することは可能であるが内旋はほとんど制動することができない.各関節には固有の靱帯・関節包が存在しており,その解剖学的構造を把握したうえで,これらのバイオメカニクス実験で検証されたストレッチングを行うことによって関節軟骨の保護をしつつ,高い治療効果が望めると考えられる.
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