研究課題/領域番号 |
20500560
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研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
川島 浩平 武蔵大学, 人文学部, 教授 (60245446)
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キーワード | アメリカ合衆国 / 黒人 / アフリカ系アメリカ人 / 運動能力 / スポーツ / 人種 / ステレオタイプ / 日米関係 |
研究概要 |
第一に、アメリカ合衆国において黒人身体能力神話が形成される歴史的過程を考察する、一般読者向けの書籍の執筆を進めた。年度始めから執筆に取り組み、必要に応じて適宜調査、確認し、再び執筆に戻るという作業を繰り返した。本書は中公新書より『人種とスポーツ-黒人は本当「速く」「強い」のか』として平成24年度に出版される予定である。また研究活動の広報作業として、2011年7月16日に東京ビックサイトで「講義ライブ」に参加し、「水泳は白人のスポーツで、陸上は黒人のスポーツ?」と題する講義をおこない、毎日新聞「スポーツを考える」欄でインタビュー記事を掲載された(2011年12月17日)。 第二に、昨年度におこなった方向修正により、明治以降の近現代の日本史をさかのぼり、身体能力において「黒人」を頂点とする「人種」的序列(あるいは「人種」的ヒエラルヒー)の意識や思考が構築される時期・時代とその環境に分析の眼を向けた。調査は主として千駄ヶ谷にあるスポーツ図書館と横浜にある新聞図書館に足を運び、これらの図書館が所蔵する一次資料を講読した。その成果の一部をチェコ共和国での国際学会と天理大学での学会で発表し、さらに考察を進めたものを、2012年6月にカリフォルニア大学バークレイ校で開催される北米スポーツ史学会で行う発表する予定である。またそのための準備作業に取り組み、現在継続中である。 第三に、カリフォルニア大学バークレイ校で客員研究員として調査をするための準備を進めた。同校にて夏期と春期に二度にわたって滞在し、人脈の構築、情報交換、アーカイブズでの調査をおこなった。 第四に、昨年度立ち上げた「武蔵大学人文学部川島浩平研究室」http://racism-sport.com/の英訳作業に取り組み、完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
黒人身体能力神話が形成される歴史的過程の分析作業の成果は中公新書から出版される。昨年度から手がけた日本を舞台とする調査の中間報告はバークレイの学会で報告する予定である。しかし調査の進展に伴い、視野をカリブ海諸国に広げる必要が生じているので、今後の推進方策欄に提案する。
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今後の研究の推進方策 |
現在の基盤研究(C)はアメリカ合衆国を事例とするものであり、5年計画での遂行によって当初の目的を達成できる見通しが立っている。しかし黒人身体能力神話にグローバルな視点から取り組むために3年目から日本を事例として取り上げ始め、4年目からはジャマイカ、ドミニカ共和国などのカリブ海諸国にも目を向ける必要を感じている。これらの国家・地域を網羅する視点に立つ研究を立ち上げ、次年度から実施するために、今年度中に次の科研申請をする予定である。
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