サッカーJリーグの発足以来、スペクテイタースポーツは地域振興との関係で注目されるようになった。プロ野球でも、仙台における楽天球団の設立や北海道日本ハムファイターズの優勝が地域にもたらした興奮は、スポーツによる地域振興が小規模な町おこしにとどまらず地方大都市圏の再生に寄与しうることを示した。本研究は、中日球団の協力を得てスペクテイタースポーツによる名古屋都市圏の文化的活性化を模索し、都市コミュニティの再生を図るものである。 本年度の活動としては、研究代表者が関西の大学に異動したこともあり、名古屋大都市圏以外、プロ野球以外のスペクテイタースポーツファンの意識や行動に注目し、本調査のメインターゲットである名古屋都市圏のプロ野球ファンと比較することに力を入れた。 その手法としては、まず(1)イギリスから著名なスポーツ社会学者John Horne氏を招いてワークショップを行い、プロスポーツとメディアとファンの関係について日英米の比較を行った。次に(2)フィールドワークとして阪神甲子園球場に何度か足を運び、関西でのドラゴンズファンの行動と、タイガースファンの行動を比較した。最後に(3)過去にナゴヤドーム球場で行ったアンケート調査のデータを解析して、都市住民のアイデンティティとチームイメージの関係を分析した。今後は連携協力者とともに、3年間の成果を集約して研究書を刊行する予定である。
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