研究概要 |
我々は,これまでに開発した機械的インピーダンス(慣性・粘性・剛性)をコンピュータによって可変制御できる装置を用いて,従来の装置では実現しなかった負荷(トレーニング刺激)を与えたトレーニング実験を実施した.被験者は健常な大学生11名に参加してもらい,ランダムに次の2群に分けた.トレーニングA群:8.0[Nm/s/rad]の等粘性負荷で,肘屈曲のトレーニングを10回×3セット,週3回.トレーニングB群:8.0[Nm/s/rad]の等粘性負荷+20.0[Nm/rad]の弾性負荷を肘角度1.0〜1.5[rad]範囲で重畳した条件で,肘屈曲のトレーニングを10回×3セット,週3回.トレーニング期間は3週間とし,トレーニング前後に被検者の筋出力特性(3次元評価)を行うために,6段階の等粘性負荷で全力の肘屈曲動作を行わせた.その結果1)粘性8[Nm/s/rad]の計測において,トレーニングA群,B群ともに,動作範囲全体の開始から前半3分の1のところでトレーニング効果が認められた.2)粘性8[Nm/s/rad]+弾性20[Nm/rad]の計測においては,同様な負荷でトレーニングを行ったトレーニングB群にのみトレーニング効果が認められた.またその角度範囲は弾性負荷を重畳した区間近くまで認められた.以上のことから,等粘性を用いた短期間のトレーニングでは,動作開始から前半3分の1あたりでトレーニング効果が認められた.また,新たなトレーニング刺激(等粘性+弾性負荷)を用いたトレーニング群では,等粘性のみのトレーニング群よりもより広範囲の角度域においてトレーニング効果が得られることがわかった.
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