本研究では、運動の苦手な子どもたちにとって効果的な体育授業のあり方を検討しようと考えた。その理由は、運動の苦手な子どもたちは、体育・スポーツのすばらしさ、体を動かすことの心地よさ、そしてチームの勝利に向けて仲間と協力して努力することの尊さを体験し、実感する機会が得られにくいからである。今年度に実施した研究の成果は、以下の3つの研究論文としてまとめた。 1.中学生女子バレーボールの授業研究~初めて学ぶバレーボールでどこまで上達できるのか~ <概要>小学校時代にバレーボール型の授業をほとんど経験していない女子生徒が中学校で初めて学ぶバレーボールの授業において、どれだけスキルを習得しゲームを楽しむことができるかを実践研究した。その結果、多くの生徒は、レシーブ成功率や触球数を高めるなど、個人スキルを向上させた。その一方で、それらのスキルをゲームの中で生かし、頻繁にラリーを続け三段攻撃につなげるといったゲームパフォーマンスの向上にはつながらなかった。 2.「継続的フィードバック」が技能成果、運動有能感に及ぼす影響 <概要>学習者が最初に受け取ったフィードバックに引き続き、さらに目標に対する進捗状況を認知できるような「継続的フィードバック」を与えれば、技能下位児の技能成果が有意に向上することが示された。 3.小学校2年生における跳の運動遊びの授業づくり <概要>新学習指導要領で新たに領域となった「跳の運動遊び」の授業実践を通して運動有能感を高めることを目的に授業実践を行った。その結果、児童は「遠くへ」「高く」跳ぶ場づくりやゲームを通して、おもしろさや楽しさを味わい、彼らの挑戦意欲が高まり、運動有能感を向上させることができた。
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