本年度は投球競技を行っている大学生スポーツ選手の肩関節回旋腱板筋の固有筋力について他の競技者との比較を行い、その特性について検討を行った。 対象は大学生の野球投手群、野球野手群、陸上競技投擲群、陸上競技短距離群、体操競技群の各9名である。超音波診断装置を用いた棘上筋の筋断面積撮影、等速性筋力測定器を用いた肩関節外転トルクの測定から、単位筋断面積あたりの外転トルクで示される棘上筋の固有筋力指数を計算し、各群間の比較を行った結果、以下のような知見を得た。 1) 各競技種目における利き腕側と非利き腕側の比較より、いずれの競技種目においても肩関節外転トルク、棘上筋の筋断面積、固有筋力指数には差がみられなかった。 2) 利き腕側を対象とした競技種目間の比較において、外転トルクは投擲群が野球投手群に対して、棘上筋の筋断面積は投擲群が野球投手群と野球野手群、体操競技群に対して高い値を示したが、固有筋力指数はいずれの競技種目間にも差は見られなかった。 3) 上述の結果より、投動作をともなう競技種目を含む各種スポーツ選手の棘上筋の固有筋力指数は両側間に差がないばかりでなく、各競技種目を通してみてもほぼ一定に保たれており、外転トルクの大きさは筋断面積(筋量)に依存するところが大きいことが示唆された。
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