トレーニングにより骨髄より動員された内皮幹細胞と樹状突起細胞が、全身諸臓器の血管の活性化に直接関与することを成体で明らかにする目的で、本研究を遂行した。骨髄キメラマウス4ヶ月のトレッドミル負荷1週-4週後の大動脈を詳細に観察した。その結果、以下のことが判明した。1)骨髄由来樹状突起細胞が多く出現している部位とまったく見られない部位に分かれているのが特徴で、一様の分布ではない。2)骨髄由来樹状突起細胞は肋間動脈開口部で多く見られる。3)骨髄由来樹状突起細胞の出現頻度はトレーニングマウスとトレーニングしないマウスで有意な差はみられない。4)骨髄由来樹状突起細胞の出現頻度はトレーニング1~4週で差はみられない。5)骨髄由来内皮細胞は上行大動脈起始部にみられる。6)心臓毛細血管では多数の骨髄由来内皮細胞がみられる。7)全身諸臓器の動脈、静脈、リンパ管に骨髄由来内皮細胞がみられる。また、週齢による骨髄由内皮幹細胞、樹状突起細胞の動態を検討するため、骨髄移植後、56、64、72週間長期飼育マウスを作製した。次年度は、これまでに作製した組織標本を用い、骨髄由来内皮幹細胞と樹状突起細胞の動態を詳細に検討する予定である。
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