研究課題
運動による筋収縮モデルとして筋芽由来の培養細胞であるC2C12細胞に機械的ストレッチを負荷すると、インターロイキン-6の遺伝子発現が上昇するとともに、タンパク質合成促進シグナルが増強した。昨年度までに、機械的ストレッチによるタンパク質合成促進作用はチロシンキナーゼの阻害剤であるゲニステインによって完全に阻害されることから、いずれかのチロシンキナーゼがストレッチ刺激の伝達に関与していることが示唆された。そこで本年度は、いずれの分子のチロシンリン酸化がストレッチによるタンパク質合成促進作用を伝達しているかを検討した。C2C12細胞をシリコンチャンバーで培養し、細胞伸展装置を用いて周期的伸展(15%の伸展、1伸縮/秒、30分間)を加えた。一部の実験では、伸展前に阻害剤を培地に加えた。刺激後に細胞を回収し、Westerm blot法でタンパク質合成促進作用の指標となるp70 S6 kinase(p70S6K)およびeukalyotic elongation factor 2(eEF2)を解析した。Src kinaseおよびJunas kinase(JAK)の特異的阻害剤はストレッチによるp70S6KおよびeEF2の活性化には影響を及ぼさなかった。一方、phospholipase C(PLC)の特異的阻害剤であるU-73122は、ストレッチによるこれらの活性化を阻害した。さらに、ストレッチはPLC-γ1の783,番のチロシン残基のリン酸化を上昇させることを見出した。以上の結果より、機械的ストレッチによるタンパク質合成促進シグナルは、チロシンリン酸化に伴うPLCの活性化によって伝達されている可能性が示唆された。
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Molecules and Cells
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Journal of Appllied Physiology
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