研究概要 |
FGF-7の筋成長を調節する機構に対する重要性について検討するために,MyoD family, cell cycle markerのmRNA発現に及ぼすFGF-7の発現抑制の影響について調べた。実験1として4週齢のラット前脛骨筋にFGF-7 mRNAの発現を抑制するshort hairpin RNA(shRNA)を発現するplasmidと特定の遺伝子発現を修飾しないRandom配列のplasmidを投与(各100μg DNA/100μl saline)し, FGF-7, MyoD, myogenin, M-cadherin, PCNA,およびp-21の各mRNAの発現量を測定した。mRNAの解析は,Real-time RT-PCR法を用いて行った(Applied Biosystems)。FGF-7 shRNA plasmid投与群では,投与1日後において,Randam配列 shRNA plasmid投与群と比較して,FGF-7 mRNAの発現量は約80%に低下し,その後回復する傾向にあった。MyoD mRNAおよびPCNA mRNAの発現量は,FGF-7 shRNA plasmid投与群とRandam配列 shRNA plasmid投与群との間に有意な違いは観察されなかった。myogenin mRNAの発現量は,投与1日後,および3日後ではFGF-7 shRNA plasmid投与群とRandam配列 shRNA plasmid投与群との間に有意な違いは観察されなかったものの,投与5日後ではFGF-7 shRNA plasmid投与群のmyogenin mRNAの発現量は,Randam配列shRNA plasmid投与群と比較して有意な低下が観察された。FGF-7が生後の骨格筋成長に対して,differentiation段階で影響を及ぼしている可能性が示唆された。つぎに,実験2として4週齢のラットを用いて足底筋の協働筋である腓腹筋とヒラメ筋を切除し,さらにFGF-7 shRNA plasmid投与,およびRandam配列 shRNA plasmid投与を行い,その後の筋成長過程におけるMyoD family, cell cycle markerのmRNA発現状態について観察を行った。MyoD, myogenin, M-cadherin, PCNA,およびp-21の各mRNA発現について有意な違いは観察されず,FGF-7の筋再生過程における筋成長への貢献は明らかでなかった。
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