本研究は、シックハウス症候群(SHS)と診断された5~16歳の17名の子どもを対象に・生育歴、・揮発性化学物質の測定による生活環境調査、・WISC-III、・現在の生活状況についての親からの聞き取りによる質問紙調査の結果を加えて、発達傾向を明らかにした。全体のFIQは正常範囲であったが、PIQがVIQに対して有意に低かった。生活改善が進まず経過が不良と判断された群と、生活改善が進み良好だった群を比較した結果、不良群は、FIQ、VIQ、PIQすべてで良好群より低かった。不良群では、半数に不登校傾向や不定愁訴があった。化学物質の曝露の状況が改善されないケースでは、心身の発達に影響する可能性を示唆した。
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