研究概要 |
研究課題の唾液中ホルモン分析による生体リズムと朝の意欲・疲労感の関連性の検討にあたり,本年度はメラトニンの生体リズムを基準として,睡眠と疲労感に関する自己評定項目結果との関連性から解析を進めた。これは生体リズムの脱同調の視点から心身の不調の要因を分析しようとする視点である。 研究方法として,健康な大学生15名を被験者として,午後8時,午前0時,午前4時,午前8時,午後0時の5回唾液採取を行い,生理的指標としての唾液中メラトニンと成長ホルモンを蛍光酵素免疫測定法で分析した。また,午後8時と午前8時に心身の状態を自己評定した。 得られたメラトニンの生体リズムデータを基準にレギュラー・サーカディアンリズム・グループとイレギュラー・サーカディアンリズム・グループの2群にグループ分けをし,心理的評定項目5項目,身体的評定項目5項目の計10項目からなる精神身体的状態の自己評定尺度結果を統計的に分析した。 結果として,イレギュラー・サーカディアンリズム・グループはレギュラー・サーカディアンリズム・グループと比較し,朝の心身の状態に関して不調を示す項目が有意に多く認められた。さらに強い不安感が示された。このことからイレギュラー・サーカディアンリズム・グループは,就寝-起床時間の位相が単に後退しただけではなく,精神身体的にもマイナスの影響が出ていることが示された。本研究はサンプル数が少ないが,研究を継続することによって更に日本の青少年の夜型生活へ対する警鐘が示唆されると思われる。
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