事務系企業の275名の社員を対象として、唾液中アミラーゼ濃度と職業性ストレス関連要因に関する横断的調査を実施した。具体的には、午前の健診時にアミラーゼ濃度の測定を行い、属性や検査日当日の喫煙や朝食の有無、通勤方法、Framingham study.のType A評価尺度、緊張・不安、抑うつ、怒り・敵意、活力、疲労、混乱などの情動を表すProfile of Mood States(POMS)、過去1週間の抑うつ度を示すCenter for Epidemiologic Studies Depression Scale(CES-D)、全般的な精神的健康度を表すGeneral Health Questionnaire(GHQ)の28項目版、NIOSH版職業性ストレス調査票の中のストレス対処行動と社会的支援、厚生労働省の疲労蓄積度チェックリストなどの主な項目からなる自記式質問紙調査結果との関係について検討した。275名のうち、質問紙で有効回答がなされた227名(男性173名、女性54名)を解析対象者とした。 その結果、アミラーゼ濃度とType A行動様式には正の相関が認められたものの、他の質問項目との間には有意な関連はなかった。アミラーゼ濃度が予想に反してほとんどのストレス要因と関連していなかったことから、アミラーゼ濃度と血清コルチゾール値に関する検討は実施しなかった。 また、解析対象者のアミラーゼ濃度は1~174KU/Lと個人差が大きかったため、横断的解析よりも縦断的解析の方が適していると考え、1名の被験者の協力を得て、100回以上アミラーゼ濃度、Visual analogue scaleによる自覚的ストレス度、血圧、脈拍の測定を試験的に行った。その結果、アミラーゼ濃度は自覚的ストレス度とのみ有意な正の相関を示した。
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