研究概要 |
本研究は、児童の生活時間、身体活動量および就床時唾液メラトニン量の関連について検討することを目的に実施した。本研究への参加の同意が得られた小学生男子児童55名の生活時間、起床時・午後2時・就床時の口腔温、並びに身体活動量(歩数)を1週間測定した。全体の歩数平均値から1SD以下の児童8名を歩数低値群(L群:平均12,015±2,251歩)、一方平均より1SD以上の児童8名を歩数高値群(H群:22,929±1,445)とした。両群間の生活時間に差は認められなかったが、L群の就床時唾液メラトニン量(3.9±2.7pg/dl)は、H群(13.0±6.8)に比べて有意に低値であった(p<0.05)。H群の就床時口腔温(36.46±0.34℃)は起床時(36.39±0.23)と差はなかったが、L群では就床時口腔温(36.78±0.29)が起床時(36.13±0.34)より有意に高値であり、L群の体温リズム位相が後退していることが示唆された。 また、就床時メラトニン量は起床および就床時刻の影響を受けることが考えられることから、全体の起床および就床時刻の平均値±1SD内(6:10-7:02の間に起床、21:31-22:41の間に就床)の24名について、歩数と就床時メラトニン量の関連を検討したところ、有意な正の相関関係が認められた(r=0.63,p<0.01)。 以上のことから、同じ生活時間であっても、身体活動量の多少が体温やメラトニンリズムに影響を及ぼず可能性が示唆された。
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