受動喫煙による肺免疫系への影響と肺癌の発生について、タバコ副流煙を一定量、均一に受動喫煙出来る装置を作成し、マウスに一定期間、一定量を受動喫煙させ、肺胞マクロファージを採取後、受動喫煙による免疫機能への影響を検討した。副流煙曝露は、C57BL/6♀マウスに、1日、タバコ20本の副流煙を10日間、曝露した(STS群)。副流煙の粒子数は、7段階の粒子径ごとに、パーティクルカウンターを用いて測定した。副流煙曝露後、AMは気管支肺胞洗浄(Broncho Alveolar Lavage:BAL)により回収した。AMの細胞内部構造及び大きさと自動蛍光はFACSを用い測定した。DNA損傷はcomet assayを用い評価した。副流煙の水溶性抽出物(water soluble side-stream tobacco smoke:WSTS)は、副流煙を滅菌蒸留水にバブリングし、凍結乾燥し調製した。副流煙の粒子数は、粒子径0.1μmの粒子が最も多く、次いで粒子径0.2μmの粒子が多く含まれており、微粒子測定装置を併設してモニターすることにより総粒子数が一定量、受動喫煙できる条件を作成することが出来た。この一定の条件下での受動喫煙により、AMの細胞数は、NS群と比べて、STS群で有意な増加が認められた。AMのドットプロットは、NS群と比べて、STS群でSSC-HとFSC-H値の増加が認められ、自家蛍光強度の増強が認められた。AMのDNA損傷は、非処理群と比較して、2.5mg/ml以上のWSTS処理で確認され、5mg/ml WSTSで最も強く認められた。副流煙曝露はAMの細胞数を有意に増加させ、内部構造の複雑化、大型化し、自動蛍光の増強を誘導した。AMのDNA損傷はWSTS処理で確認された。以上の成績から、副流煙はAMの内部構造を変化させ、DNA損傷を誘導し、その損傷は副流煙の水溶性抽出物により生じた。
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