研究課題/領域番号 |
20500613
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
鈴木 栄一 新潟大学, 医歯学総合病院, 教授 (30187710)
|
研究分担者 |
長谷川 隆志 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (90361906)
田中 純太 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (40401749)
|
キーワード | 気管支喘息 / 運動誘発 / EVH / 呼気一酸化窒素 / 最大酸素摂取量 / 吸入ステロイド |
研究概要 |
(1)運動誘発性喘息の診断確立 昨年度に引き続き、新潟県健康づくり・スポーツ医科学センターに受診したスポーツ選手の中で、気管支喘息を積極的に診断している。診断方法として、詳細の問診のほかに、呼吸機能検査と気管支拡張剤に対する反応を測定する気管支可逆性試験、さらに運動負荷試験、高張食塩水負荷試験の負荷試験、喀痰検査、呼気一酸化窒素測定により診断している。また運動誘発性喘息の診断として海外で頻用され、感受性・特異性が高いとされる正炭酸自発過呼吸法(Eucapnic Voluntary Hyperventilation:EVH)に関しても、少しずつではあるが、症例数を蓄積している。 (2)運動誘発性喘息に対する治療反応性の検討 運動誘発性喘息と診断された症例に対して、積極的な治療介入による自覚症状・呼吸機能の改善、運動能力の向上を治療効果として検討している。前年度までの検討で、吸入ステロイド(inhaled corticosterold:ICS)が症状軽減、呼吸機能の改善・抗炎症効果の面において、最も効果が期待されるため、診断後吸入ステロイドの中等量から開始している。しかしその後の検討から吸入ステロイドに対して反応が少ない症例も散見され、臨床症状および検査結果の解析において、喀痰中の好酸球比率や呼気中の一酸化窒素値が低い症例は吸入ステロイドの反応が少ないことが明らかになってきている。すなわち、アレルギー性気道炎症といった従来のアトピー素因の強い喘息ではなく、好中球炎症が主体で、アトピー素因が軽度の病型もアスリートの喘息には混在していると考えている。これらが運動すなわち過酷な呼吸環境によって作り出されたものと結論できないが、その可能性はあり、今後も解析を続けていく予定である。これらの結果については、日本アレルギー学会、臨床スポーツ医学会学術集会にて発表した。
|