本研究は、一般住民における慢性腎臓病CKDの実態とメタボリックシンドロームMSにおける腎障害の実態を明らかにすることを目的とし、当該年度は、研究計画に記載したように、1)慢性腎臓病CKDに関する疫学研究と、2)メタボリックシンドロームに関するCKDの疫学調査と臨床病理学的研究、の2つに関して行った。 1)慢性腎臓病CKDに関する疫学研究:研究協力いただいた地域住民健診センターにおける以下の検査項目を収集して横断的研究を行った。 (1)CKD患者の住民全体における頻度、年齢層別頻度、性別頻度 (2)CKD患者における原因疾患別頻度 (3)CKD患者における脳血管障害、虚血性心疾患、糖尿病、高血圧、痛風、肥満、喫煙歴、アルコール摂取歴、肝障害、脂質異常症、メタボリックシンドロームの頻度について、非CKD者と比較した。 2)メタボリックシンドロームMSに関するCKDの疫学調査と臨床病理学的研究: (1)MSの頻度、年齢層別頻度、性別頻度 (2)顕性尿異常を示さないMSにおける尿中微量アルブミン、クレアチニン測定を行い、その微量アルブミン尿排泄率からその陽性率を調べた。 (3)MSにおける腎障害の検討:尿異常、腎機能障害、CKDの頻度 (4)MSの腎障害に関する臨床病理学的解析を行った。すなわち、血圧、血糖、脂質、および腹囲、体重などと尿異常・腎機能障害の相関関係を調べた。 (5)MSと腎障害をもつ患者における腎病理学的研究:MSと腎障害を持った患者の臨床情報とその患者の腎生検光顕標本を用いて、組織型診断、糸球体病変、尿細管間質病変、血管病変を評価した。これによって、MSで認めた腎障害と、糖尿病、高血圧による腎障害との関連も検討し、MS固有腎障害の有無について検討した。
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