研究課題/領域番号 |
20500624
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
有田 幹雄 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (40168018)
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研究分担者 |
森岡 郁晴 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (70264877)
内海 みよ子 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (00232877)
牟礼 佳苗 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90268491)
辻 あさみ 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 講師 (60310794)
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キーワード | メタボリックシンドローム / 危険因子の集積 / 運動負荷時の血圧反応 |
研究概要 |
【目的】動脈硬化の初期段階に認められる血管内皮障害や動脈スティフネスの上昇は、運動負荷に対する過剰な血圧上昇をもたらす可能性がある。そこで、安静時血圧が正常域にある男性を対象に、メタボリックシンドローム(MetS)の危険因子が運動負荷時の昇圧反応に及ぼす影響について検討した。 【方法】安静時血圧が正常域にあり、脳・心血管疾患、糖尿病、腎疾患の既往歴のない男性535名(43±8歳)を対象に、座位安静で収縮期(SBP)および拡張期血圧(DBP)を測定し、空腹時採血により、中性脂肪(TG)、総コレステロール(TC)、HDLコレステロール(HDL-C)、血糖(FBS)を測定した。運動負荷試験は自転車エルゴメーターを使用し、ランプ負荷法にて症候限界性で実施した。試験中は自動血圧監視装置を用いて血圧を連続測定した。運動負荷に対する血圧反応性は、100Wの負荷強度における平均動脈圧を指標とした。また、同強度での心拍数からカルボーネン法を用いて相対心拍数(%)を算出し、生理的負荷強度を評価した。 【成績】100Wの負荷強度におけるSBP、DBP、MBPの平均はそれぞれ175mmHg、90mmHg、118mmHgであった。また、MBPは年齢(r=0.27)、安静時のSBP(r=0.28)およびDBP(r=0.38)、運動時の相対心拍数(r=0.50)、TG(r=0.16)、TC(r=0.19)、FBS(r=0.18)と有意な相関を示した(P<0.001)。メタボリックシンドロームの診断基準によって血圧高値、脂質異常、高血糖の有無を判定し、運動負荷時のMBPを相対心拍数で標準化したZスコアを用いてMetS危険因子による影響を検討した。MBPのZスコアは、正常血圧者に比べて正常高値血圧者で有意に高値を示した(P<0.001)。脂質異常と高血糖の両方が集積した多重リスク者(n=42、Z=1.05±0.93)ではMBPのZスコアが著しく高値を示した(P<0.001)。さらに、MBPのZスコアを従属変数とした重回帰分析では、血圧高値を含む脂質異常や高血糖の集積の有無が有意な危険因子であった。(β=0.193、P<0.001)。 【結論】安静時血圧が正常域にある男性において、100Wの運動負荷強度におけるMBPを評価した。MetSの危険因子の集積が運動負荷時の昇圧反応を増加させることが明らかになった。
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