【研究の背景・目的】 ヒューマンカロリメーター(HC)は、フェイスマスク等の呼気採取用機器を装着することなく、日常生活に近いスタイルでのエネルギー消費量(EE)を測定する装置であり、生活習慣病予防に関連する貴重な基礎データを提供している。しかし、HCは1日24時間の長時間にわたるEEを高精度に測定するが、測定原理上、短時間(15~30分)のEEを正確に測定することが困難な欠点があり、HCでの短時間EEの高精度測定が国際的にも求められている。本研究では、人のCO2排出を模擬するためCO2ガス噴出装置を製作し、HCでの短時間EE測定精度の評価・向上行うことを目的とする。 【本年度の研究概要】 本年度は、昨年度までに独自開発したガス噴出装置を用いて、CO2ガスを矩形波でHC内に噴出する実験を繰り返し行い、データを蓄積・解析した。噴出時間を30分、20分、10分と短縮し、HCにおける時間分解能を検討した。いずれの噴出時間においても、噴出したCO2ガス量(ガス噴出装置により測定)に対する回収量(HCにより測定)、つまりCO2回収率が85%(本来100%となるべきところ)であった。この原因を調査するため、1)ガス噴出装置の噴出量の確認、2)デジタル・マスフローコントローラーのコンバージョンファクター(流量変換係数)の調節、3)噴出流量入力ソフトウェアにおける操作性の向上を進めることとした。 【今後の研究計画】 科学研究費補助金としての本研究課題は本年度で最終年度であるが、今後はこれまでの研究結果を踏まえて、独自研究として上記の1)~3)を実施する。
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