研究課題
基盤研究(C)
(1)マウスにおいて魚油はウェイトリバウンドによる体重増加および肝臓への脂肪蓄積を抑制する。魚油のウェイトリバウンドに及ぼす影響についてKK-Ayマウスを用いて検討した。この結果、リバウンドによる体重増加期の魚油摂取は、体重増加と肝臓への脂肪蓄積を抑制することが判明した。肝臓への脂肪蓄積抑制の機序として、肝臓での脂肪酸合成の抑制、脂肪分解や脂肪酸酸化の亢進および肝臓からのリポタンパク質分泌の正常化が関与すると考えられた。(2)マウスの食餌誘発性糖・脂質代謝における魚油のperoxisome proliferator-activated receptors(PPARs)非依存性の作用。この実験結果から、魚油はPPARs(PPAR-αおよびPPAR-γ)非依存性の機序により、血清および肝臓中脂質を減少させることが判明した。また、糖代謝に関しては、食餌に含まれる脂質の種類によりPPARs antagonistsの作用が異なる(逆方向になる)ことも判明した。(3)魚油中の不飽和脂肪酸が血清、肝臓および脂肪組織における適正な脂肪分布に関与する。魚油と魚油を水素化することにより、不飽和脂肪酸を同じ炭鎖長の飽和化脂肪酸に変化させた油脂を用いて、糖・脂質代謝に及ぼす不飽和脂肪酸の役割を検討した。その結果、魚油中の不飽和脂肪酸が血清、肝臓および脂肪組織における脂質分布の適正化に関与することが判明した。また、水素化した魚油食でも耐糖能が悪化しなかったことの理由として、肝臓や脂肪組織で合成された一価不飽和脂肪酸(C16:1,C18:1)が関与すると考えられた。(4)高脂肪食下のマウスにおけるパルミトオレイン酸およびエイコサペンタエン酸の脂質代謝調節作用高脂肪食下のマウスに魚油に服われるの主要な構成要素であるパルミトオレイン酸を経口投与し、糖・脂質代謝に及ぼす影響を検討した。この結果、高牛脂食によって誘発された脂質代謝異常を比較的少量のパルミトオレイン酸を経口投与することにより、同量のエイコサペンタエン酸と同程度改善した。よって、魚油中のパルミトオレイン酸はエイコサペンタエン酸と並ぶ脂質代謝の主要な調節因子であると考えられた。
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http://www.josai.ac.jp/~facpharm/nourish/yv/laboratory_of_nutritional_toxicology.html