研究課題
本研究では、分子生物学的なインスリン抵抗性および筋萎縮発症メカニズムの解明に寄与することを目的とし、平成21年度は以下の成果を得た。[方法]昨年度に引き続き、糖尿病モデルラット(OLETF)を用いて、抗酸化物質としてアスタキサンチンを投与し、糖尿病発症に伴うインスリン抵抗性、筋萎縮に対する抗酸化物質摂取の効果について検討する実験を行った。LETO群(C群)、OLETF-抗酸化物質非投与対照群(D群)、OLETF-抗酸化物質投与群(A群)との3群について昨年度実施した6週齢、12週齢、25週齢に加えて41週齢での糖負荷試験を実施した。同時に採血を行い血中インスリン濃度の測定を行い、インスリン抵抗性の評価を行った。また41週齢でも、それぞれ下肢骨格筋を採取し、筋重量、シグナル伝達の分析を行った。[結果](1) D群、A群における体重ならびに飼料摂取量には、41週齢まで差を認めなかった。(2) 25週齢での糖負荷試験ではアスタキサンチン投与により、インスリン抵抗性発症が抑制される結果を得たが、41週齢では糖負荷試験、インスリン値共にA群とD群とに有意差はなく、2型糖尿病が亢進していた。(3) 25週齢でインスリン抵抗性発症と共に下肢骨格筋の筋重量の有意な低下を認めたが、アスタキサンチン投与により筋重量の低下を抑制したが、41週齢では抑制効果が低下した。次年度以降は、引き続き96週齢までの経過を観察し、糖負荷試験、インスリン値、筋重量、Aktなどのシグナル伝達系酵素の解析を実施する。また、酸化傷害マーカー(DNA損傷、過酸化脂質、カルボニル化およびニトロ化タンパク)および抗酸化酵素の活性および発現量を測定し、酸化ストレスに関する知見を得る。なお、本年度は2型糖尿病改善薬ピオグリタゾン標的酵素として新規にスクリーニングされたmitoNEETホモログの構造解析も併せて実施した。
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J.Am.Chem.Soc. 131
ページ: 13659-13667