研究課題
本研究の目的は、水中運動の抗動脈硬化作用を臨床的に明らかにするとともに、3次元管状ヒト血管モデルによる免疫学的基礎検討により解明することである。本年度は、研究代表者らのプロトコールにより作製した3次元管状ヒト血管モデル(ヒト大動脈血管平滑筋細胞・血管平滑筋細胞・type1コラーゲン)を用いて、樹状細胞・マクロファージ・CD4陽性リンパ球との共培養を行なった。管状ヒト血管組織において樹状細胞の活性化マーカーであるCD83やCD86、CCL19やCCR7の発現は、LPS刺激により増加した。TCR, CD40L, IFN-γの発現は、DCとの共培養下、特にLPS刺激により増加した。また、CD4陽性細胞の組織内への浸潤は、DCとの共培養下、特にLPS刺激により増加した。以上より、LPS刺激によるDCの活性化は、血管炎症を誘導することを、3次元管状ヒト血管モデルにおいて初めて証明した(Circ Res2008)。現在、樹状細胞とマクロファージとの差異、リンパ球サブセットとの関連について検討中である。さらに、東海地区の水中運動参加者における臨床指標と血液サンプルの収集を行なうため、計画書の倫理審査を申請し、承認を得た。インフォームドコンセントを取得した参加者から、実際に採血を行い、血清の保存を行なった。本課題は、水中運動の抗動脈硬化作用を基礎的、臨床的に検討を行う独創性の高い研究であるとともに、その結果から得られる知見は、社会的にも意義のあるものと考えられる。
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