研究概要 |
1.研究の背景 生活習慣の睡眠の障害が発症に強く関わるうつ病を広義の生活習慣病の範疇に入る疾患と考え、不眠症とうつ病との関連を検討した。不眠症のサブタイプは横断研究では、入眠困難と早朝覚醒が関与するが縦断研究では早朝覚醒の関与は見られず、うつ病の発生にかかわるのは入眠困難であり、早朝覚醒はうつ病の結果であることが明らかになった(Yokoyama Eise et al.SLEEP 33:1693-1702,2010)。今年度はこの機序についてQOLの指標から検討した。睡眠時間と生活習慣病との関わりについての報告では死亡率がU字現象を示す内容が多いが,我々はQOLの指標であるsubjective well-beingと睡眠時間がU字型を示すことを報告している(Yokoyama Eise et al:Sleep Medicine 9:157-164,2008).そのため、QOL+生命表の指標である健康余命と睡眠障害との関連ついての解析を試みた。2.対象集団日本大学学術情報センターと日本大学人口研究所が日本全国の65歳以上の地域高齢者5000人を対象に「健康と生活に関する調査」を行っている。調査期間は2003年をベースラインとして、2006年、2009年の3回のコホート調査の結果を用いる。3.方法調査項目は身体項目:血圧、肥満度、ウエスト計睡眠関連:夜間睡眠時間、不眠症の有無(入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、昼間の過度の眠気、睡眠充足感など)など、健康余命の評価に用いるQOLにPGC-モラール・スケールを用いた。4.結果PGC-モラール・スケールについて、因子分析による解析で、3因子が抽出され、睡眠時間は3因子によって異なった傾向を示した。これらのデータを用いて健康余命の検討中である。
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