研究概要 |
目的:生活習慣病の成人男女(20歳~65歳)における生活習慣改善効果を酸化ストレスという新たな視点から検討する.21年度は、雑穀パウダーを用いて主に食事の改善効果を検討した。 方法:雑穀米(粉末)を一日9g毎日摂取し、介入前、摂取1ヵ月。接種3ヵ月、摂取中止1か月後に血液検査と血管内皮機能:FMD(flow-mediated vasodilation)を評価した。血液検査項目:FRAS(AITEC社製)を用い、d-ROMs test:活性酸素種の代謝産物、BAP test:抗酸化力を測定した。一般的なスクリーニング検査および酸化ストレスに影響を及ぼす因子として、血計、肝機能(AST, ALT, γGTP,)尿素窒素、クレアチニン、Na、K, Cl,尿酸、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、血糖、HbA1c、アディポネクチン、他の酸化ストレスマーカとして、Malondialdehyde LDLを測定した。 結果:参加者24名(男性20名、女性3名)のうち、男性1名、女性1名は、体調不良や懐妊のため研究を中止し、21名(男性19名、女性1名、平均年齢36.7±7.6歳)について解析を行った。雑穀パウダー摂取前、摂取1か月後、3か月後、摂取中止1か月後の時点の血液検査項目、酸化ストレスマーカー、FMDいずれの指標にも有意な変化は認めなかった。 雑穀の効果として、食物繊維成分が多いことより、脂肪の吸収抑制効果が期待されたが、今回の1日摂取量9gの雑穀中の食物繊維成分は0.67gと少量であるため、生体内での影響が生じなかったものと考えられる。
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