生活習慣病患者における酸化ストレスに対して運動および食事指導介入の効果を検討した。 研究1:運動習慣のない生活習慣病患者(n=30)を対象とした。血中酸化還元能の測定には、Free radical analytical system(AITEC社製)を用いた。Reactive oxygen metabolites test(d-ROMs)にて酸化能を、Biological antioxidant potential test(BAP)にて還元能を評価し、dROM/BAP比を酸化ストレスの指標とした。トレーニング効果:自転車エルゴメータを用い、50%sVO2max、1回30分以上、週2回以上を12週間行った。トレーニング前後に50%sVO2max一定負荷運動を行い運動前~後のdROM/BAP比を測定した。結果:運動トレーニングにより安静時から運動中、運動後にdROMには変化は認めなかったが、BAPは増加し、dROM/BAP比は有意に低下した。結語:生活習慣病患者において、50%sVO2max強度のトレーニング前に比べ、トレーニング後には運動中のdROM/BAP比が低下したことより、運動トレーニングは、血液中の酸化ストレスが低下させる可能性が示唆された。 研究2:生活習慣病患者(n=21)を対象に雑穀米(粉末)を一日9g毎日摂取し、介入前、摂取1ヵ月。接種3ヵ月、摂取中止1か月後に血液検査と血管内皮機能:FMD(flow-mediated vasodilation)および酸化ストレス指標を評価した。雑穀パウダー摂取前、摂取1か月後、3か月後、摂取中止1か月後の時点の血液検査項目、酸化ストレスマーカー、FMDいずれの指標にも有意な変化は認めなかった。雑穀の効果として、食物繊維成分の摂取により、脂肪の吸収抑制効果が期待されたが、今回の1日摂取量9gの雑穀中の食物繊維成分は0.67gと少量であるため、生体内での影響が生じなかったものと考えられる。栄養摂取と酸化ストレスに与える影響については、抗酸化ビタミンなどの影響も考えられ、栄養評価を詳細にしたさらなる検討が必要である。
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