<研究目的>神経筋相互作用に関して、筋活動が如何にしてシナプス形成を調節するのか、除神経筋に関する神経筋再接合を何が調節するのかは明らかにされていない。そこで、筋損傷に伴う一過性除神経後のシナプス再形成において、筋原性の調節が起こるか否かを検討した。筋活動量の変化に伴うミオシン重鎖(MHC) mRNAの量的変化、骨格筋筋線維タイプ構成比、神経筋接合部形態変化の関係にから明らかにした。<研究方法>Fischer344系雌ラットに持久走トレーニング(活動量+)と下り走トレーニング(活動量0)を行わせた。実験群は、コントロール、2週間トレーニング群(E)、2週間走トレーニング+下り走群(ED)、2週間走トレーニング+下り走+2週間走トレーニング群(EDE)の4群とした。被験筋は足底筋(PLA)、長指伸筋(EDL)とした。MHCmRNAの量的変化は、Real-Time-PCR法を用いてMHCmRNA Type I、Type II A、Type II Bを調べた。凍結筋縦断切片を作成し、コリンエステラーゼ染色と鍍銀染色を施し、神経筋接合部の形態観察も行った。<結果>ED群で、筋損傷、神経筋接合部の損傷が観察された。EDE群では筋再生の指標が観察された。一部の神経筋接合部では、多重神経支配像が観察された。よって、下り走後、筋損傷、脱神経が起こり、時間の経過とともに筋の再生、シナプス再形成が起こることが示唆された。E郡、EDE群で、持久能力の高いMHCm RNA Type I、Type II Aの増加が起こった。また、骨格筋筋線維タイプ構成比ではType II Aの増加が起こった。一過性除神経から神経再接合期に筋活動に適したMHCm RNAの増加、筋線維タイプの移行が起こったことは、筋から運動神経への情報を与えている可能性を示唆している。
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