研究の目的は、介護予防の対象者の事前情報(ベースライン評価)とプログラム終了後の効果(改善率、改善量)との関係を整理し効果の予測モデルを作成することである。初年度である20年度は、研究に協力いただいた東京都内の自治体で実施される介護予防プログラムについて、参加にあたって収集される対象者の事前情報とプログラムの効果と関連すると考えられる因子をできるだけ多く収集した。実績として、介護予防事業に参加した者(300余名分)のデータが収集できた。また、東京都老人総合研究所介護予防緊急対策室の介護予防評価システムによって、東京都内自治体の介護予防プログラムに参加した3000人程度の2次アセスメント項目(アウトカム評価)のデータを収集することができた(不完全なデータセットも含む)。収集できたデータから、介護予防に参加する対象者の基礎情報や事前調査項目を整理することができた。また、従前に集められたデータを活用し、対象者情報の1つである年齢と介護予防プログラムの効果との関係性を予備的に解析したところ、年齢と介入効果との関係性は低いことが示された。今後、収集された事前情報の各因子の相互関係や、効果(アウトカム評価)測定項目との相関関係を解析していく。さらに、効果と有意な関係のある因子を絞り込み、客観的かつ簡便な予測因子を抽出し、それらを用いた回帰モデルを作成する。21年度以降、さらに自治体数および対象者数を増やし、多変量解析として妥当性のあるモデルを作成する予定である。
|