研究課題/領域番号 |
20500646
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
徳井 淑子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (80172146)
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研究分担者 |
小山 直子 お茶の水女子大学, ジェンダー研究センター, 客員研究員 (00194639)
西浦 麻美子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 研究員 (80456277)
新實 五穂 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 研究員 (80447573)
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キーワード | 服飾 / 感性 / ジェンダー / 異性装 / 色彩 / 身体 / 視覚表象 |
研究概要 |
研究代表者と分担者は、日本と西欧の中世から近代における服飾の諸事象をジェンダーと感性の視点で分析をおこない、次のような成果を得た。 ヨーロッパの中世から近代にいたる歴史のなかで、色彩感情とジェンダー規範の相関を考察した結果、色を女性性と結びつける感性が、中世の多色蔑視観に端を発し、性による役割分担が明確にされた近代社会で形成されたことが明らかになった。 日本近代において男性の服装のみが女性に比べて逸早く西洋服化したが、その要因は公的立場の男性が、より進歩した西洋文明を摂取したいという願望の表れと解釈されてきたが、今回、帝国的イベントの関連資料を考察することで、天皇を迎えるための帝国的なイベントへの臨席の際の服装規定の影響が大であったことがわかった。洋装が儀礼的に高貴なものとして位置づけされたことで、紳士たるべく振る舞いたい男性たちに普及したのである。そこに普及の要因として国粋的方向性が明らかとなった。 18世紀後半のフランスにおけるアングロマニーの服飾流行を分析、考察した結果、イギリス服が男性性と同時に、庶民性、自由、王権や宮廷に対立する政治的立場などをも象徴する衣服として認識されていたことが明らかになった。 異性装に関する史的研究の書誌学的な調査を続け、昨今の研究動向とその問題点を理解するとともに、サンドおよびゴーチェ、バルザックなどの文学作品における服飾描写の分析を行った。そして各作家にとって女主人公の異性装が表象するものを明確にすることにより、各作家の女性性や性別二元論に対する意識を探った。
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