研究概要 |
本研究は,経済的資源のみに頼らない生活資源教育の充実・発展を目指すものであり,具体的に高等学校家庭科における生活設計教育の検討を進めた。 本年度は高校生を対象に実施した調査により,生活資源意識の確認を中心として高校生の生活資源管理の現状を明らかにした。調査対象は金沢市内の高校生257名である。調査項目は具体的には経済的資源として小遣い等の「金銭」と,モノとしての「財」,空間的資源として家の広さや自宅外での活動場所等の「静的空間」と「活動空間」,時間的資源として「勉強時間」「自由時間」,人的資源として「健康」「生活能力」,対人的資源として「家族関係」「友人関係」などをはじめとして,各資源に3つ程度の事項をあげ,総合的な生活資源管理の観点から検討をすすめた。 調査の結果,現在の生活においては,特定の資源(金銭など)について際だって充足度が低いという意識はなく,また,人間関係や時間など,「金銭」以外の資源を大切にしたいという傾向も見られた。同時に,特に時間の使い方に関しては課題と感じている等の現状が把握できた。それらの結果から,金銭教育に偏重せずに,総合的な生活資源管理能力育成の重要性が確認できたといえる。これらを踏まえて,高校生の生活設計教育に必要な視座・視点を取り入れた,具体的な授業および授業に組み込める題材を検討していく。 来年度は,具体的な授業内容を考えて,教材を提示していくこととする。また併せて,日本家政学会をはじめとして,学会報告や学会誌投稿などにより,公表の場を設けることにも努める。
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