本研究は、経済的資源のみに頼らない生活資源教育の充実・発展を目指すものであり、具体的に高等学校家庭科における生活設計教育の検討を進めた。 本年度は昨年度に実施した、生活資源意識の確認を中心として高校生の生活資源管理の現状を明らかにした調査結果をとりまとめ、教材化への検討に努めた。 昨年度までの調査から、高校生の生活資源意識として、現在の生活においては、特定の資源(金銭など)についての充足度が低いという意識はなかったこと、また、人間関係や時間など、「金銭」以外の資源を大切にしたいという傾向も見られたことがわかった。そのため、高校生の生活設計教育として、短期的には時間的資源設計、短期的ぐ中期的・長期的には人的・対人的資源設計、中・長期的には収入の獲得を中心にした経済的資源設計の重要性を強調すべきことが提案された。また、金銭教育に偏重しない、総合的な生活資源管理能力育成の視座・視点を強調した高校生の生活設計教育を求めていくことの必要性も示唆された。 さらに、家庭生活実践者(小学生の子を持つ世代)と比較してみた場合、家庭生活実践者が短期生活設計の充実の必要性を指摘できるのに対し、高校生世代は中・長期生活設計の充実の必要性を指摘でき、また、金銭的資源の価値を、ほかの生活資源の中で確認することの重要性も指摘できた。 結果として、進学あるいは就職にあたり自身の生活設計が要求される時期である高等学校において、'総合的な生活資源管理の重要性'を意識させる生活設計教育が必要であることを提案できた。
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