最近3年以内にセルフコーディネート型住戸および育児支援型集合住宅に入居した家族の生活実態と、新しい住戸空間と共用スペースの利用実態を把握し、これらの新しい生活空間の利用による家族の生活変容について明らかにした。 入居世帯は親子を含む核家族がほとんどで、ふだん家族が在宅時にはリビングで家族一緒に過ごすことが多い。特に、同じ空間にいながら各自がそれぞれに行動するなど、家族がなんとなく互いを感じながら個別に行動する傾向が認められた。可変型住戸の入居直後の使い方は、仕切りをしないか時々仕切る開放的な使い方であったが、2年後の現在も開放的傾向は変わらず個室に閉鎖する傾向はみられない。子ども室は仕切りはあるが戸を開けて使用することが多く、事例調査では複数室を使ってボール遊びをするケースも観察された。今後は、子どもの成長に伴いライフステージに合わせた住まい方を計画していることがわかった。 共用スペースでは、きょうだい一緒に遊ぶことが多く、住戸内では行動を共にしないきょうだいが一緒に過ごすケースもある。土日には父子での利用もあり、家族のコミュニケーション場面の一つとなっていることが伺えた。緩い関係で繋がろうとする現代の連立家族のライフスタイルが表れているが、共有スペースでは、親子で来室して互いの存在を感じつつ別々に過ごすケースもあり、現代の連立家族にとって貴重なコミュニケーション機会を保持する効果があるといえる。
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