研究概要 |
日本人の死亡原因の3分の2を占める生活習慣病はライフスタイルとの関連が強いことが既存の研究で分っている。しかし,ライフスタイルは文化や人間関係,社会環境など地域独自の要因に影響を受けるため,地域性を考慮した分析や対応が必要である。全国の市区町村では客観的指標を用いて地域のライフスタイルを評価しようとしているが,小地域単位でライフスタイルの変化を評価しうる統計資料は少なく,客観的な評価に苦慮しているのが現状である。 そこで本研究では,二次医療圏別平均寿命を用いて地域の健康水準とその関連要因を検討することを試みた。平均寿命は、5年ごとに公表されるので時系列変化の評価に適しており、入口構成の影響を受けにくく、地域の健康水準を評価するのに有用な健康指標である。また、平均寿命は、都道府県単位と市区町村単位で公表されているが、都道府県単位では広域すぎて地域単位の指標としては適切ではなく、市区町村単位では人口規模が数百から数十万の範囲にまたがるために偶然のばらつきが大きく信頼度に問題がある。保健医療サービスの多くは二次医療圏単位で供給されており,健康水準に関連する要因を評価するためには,二次医療圏単位のデータが有用である。 今年度は,市区町村単位の平均寿命を基にして二次医療圏単位の平均寿命を計算し,分布を観察した。さらに,二次医療圏別平均寿命と各種指標(人口規模、産業構造、高齢者人口割合)との関連を性別に検討した。男性の方が二次医療圏別の差異が大きく,都市化との関連がみられたが,女性では関連がみられず,労働形態,居住地選択,職業選択などとの関連が伺われた。 今後,二次医療圏単位で社会経済的指標等のデータベースを作成して,平均寿命との関連を検討する。平均寿命で示される健康水準にどのような社会経済的要因が関連するのかを分析し,地域の健康水準を測る有効な指標について検討する。
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