目的:絵本を「読み合う」ことは、言葉が出る前の赤ちゃんと読み手(親)の間に、どのような方法でコミュニケーション回路の開発を促すのか。それは、1.読み手の読み方、2.読み手との関係性3.絵本の種類、4.赤ちゃんの資質の違いによる反応の差異、5.親の子ども観の変容、等を中心に分析・考察する。 方法と研究協力者:恵庭市(北海道)、岡山市(岡山県)、鳴門市(徳島県)、京都市(京都府)の4地域から約20組の親子を選抜し、A「ユーモア・ナンモンス絵本」、B「物語絵本」を年間、約40冊配布し、それらがどのように読み合われたかの詳細な記録を収集した。 研究結果:1.同じ両親の下での「読み合い」であっても、兄弟・姉妹で全く異なるタイプの子どもが存在する。兄は非常に優れた読み手であり、絵本を通してのコミュニケーション(言葉・表情・ジェスチャーなど)が巧みであるが、弟は全く無関心で絵本に興味を示さない。または、その逆で兄はあまり絵本を通してのコミュニケーションが上手でない等である。日常生活の落ち着きやテレビ・映像への好奇心等の要因は現在のところ、全く関係性が認められない。初期発達において、いわゆる絵本を「読まない子」の記録をDVD「ゆうさんの記録」(34分)に編集。それらの子とせもの特性についてさらに追跡する。2.赤ちゃんの生理的リズムに合わせた親の読み方には、大きな力量差があることが分かった。文章のliteracyのつかみ方、ユーモアやナンセンス絵本はとくに差が激しいし、「物語絵本」でなければ読めない親も存在する。非常に巧みな母親をモデルにDVD「ちひろさんの記録」(21分)を編集。3.優れた読み手の兄姉は、下の子どものreading literayを開発する。DVD「兄さんと弟」(50分)を編集。4.読み方の巧みさは、世代間伝承をする可能性がある。
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