本研究は、日本の各地において育まれてきた「資源循環型生活」の実相を、インテンシブな調査に基づき多面的に採集し、今日の生活に創造的に再生・創生・実践するための具体的方策を導出することを目的としたものである。平成21年度においては、平成20年度より実施している日本各地をフィールドとした文献資料ならびに現地調査を継続して行い、これまでになされてきた「資源循環型生活」に関する知恵と行為、今日において志向されている「資源循環型生活」に関する具体的事象を収集するとともに、それらの資料を整理するためのデータベース構築の準備作業を実施した。文献調査においては、市町村史誌や写真・絵画など地域の生活文化を伝える各種資料に基づき「資源循環型生活」に係わる諸相を抽出した。現地調査においては、現地調査ならびに参与観察に基づき「資源循環型生活」の実相の採取を行った。さらに、上述の資料がどのような精神文化に裏打ちされていたかについての検討を通して、各地域が産出する自然素材を活用したさまざまなものづくりやケやハレの生活における活用、制作工程から廃棄に至る過程、再生や廃棄の具体的方法等の諸相を多面的角度から解析しつつ、データベース構築に向けた諸作業を実施した。
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